会社は何度でも甦る ビジネス・エコシステムを循環させた大企業たち/ジム・ステンゲル

ジム・ステンゲル著『会社は何度でも甦る ビジネス・エコシステムを循環させた大企業たち』。(原著:Grow: How Ideals Power Growth and Profit at the World’s Greatest Companies

大企業におけるインキュベーション、とりわけ新興スタートアップとのコラボレーション施策の是非について語られています。邦題からは、組織経営をテーマにしているかの印象を与える本著作ですが、プロダクトマネージャーやマーケターにも広くおすすめしたい一冊です。

 

 

新興スタートアップとのコラボレーション(それは時に吸収合併)は、既存の大手企業にとってはリスクの高いものでもあり、実際に吸収合併の70%-90%は失敗に終わるとも明記されています。本文でも、GEの失敗事例が紹介されています。

それでも、新興スタートアップとの協業は、大手企業にとって組織を活性化させるために欠かせない施策です。大手企業をいかに活性化させるかという観点では、『イノベーションのジレンマ』を想起させるようなコンセプトが語られていますが、この本では、”新興スタートアップとの協業” に的を絞って語られていることが特徴です。

GE, IBMといった誰もが知っている大手企業の事例が紹介されているため、読み進めやすいです。中でもGEの事例については、今までこのような取り組みをしている企業だったとは知らず、とても興味深い内容でした。

GEというと、社内文化が非常に強いイメージがあり、新興スタートアップとのコラボレーションなど受け付けていないようなイメージが先行していたのですが、社内でイノベーションを創出するために、陰でこのような努力をしている企業だったのかと感心させられます。

 

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大手企業と新興スタートアップとの協業という文脈では、母校コーネルテックで実施されていた、ニューヨーク拠点の大企業と大学発のスタートアップのコラボレーションプログラムを思い出します。(コーネルテックは、コーネル大学のNYCキャンパスです。)

コーネルテックは、”ニューヨーク市におけるスタートアップのエコシステムを創出する” という趣旨のもと、ニューヨーク市からの支援金を受けてコーネル大学が創設しました。最近では、学生と既存企業が一緒に新規事業を創出するコラボレーションプログラムが人気を集めており、企業側の応募も非常に増えていると聞きます。

私が在学中の当時も、Bloombergをはじめとし、ニューヨーク発の大手企業が多数参加していました。Bloombergについては、ブルームバーグ元ニューヨーク市長がコーネルテック設立に深く関わっている経緯があり、至るところでコーネルテックとの共同事業に名を連ねています。

 

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著者のジム・ステンゲル氏は、『本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50』という本も執筆しており、元P&GのGMO(グローバル・マーケティング・オフィサー)として著者な方です。

ジム・ステンゲル氏はマーケティング出身でありながらも、彼の著作ではマーケティングの域に留まらず、組織・経営視点での見解が深く語られていることが特徴。多くの人におすすめしたい内容です。

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