本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えたトップ企業50/ジム・ステンゲル

 

ジム・ステンゲル著『本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50』。マーケターにおすすめしたい一冊。良著。

(原著:Grow: How Ideals Power Growth and Profit at the World’s Greatest Companies

著者のジム・ステンゲル氏は、P&GのGMO(グローバル・マーケティング・オフィサー)を2001年〜2008年に務めた後、独立しています。現在は、ジム・ステンゲル・カンパニー社のCEOとして、コンサルティング業に従事しているようです。

 

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P&Gの紙オムツ「パンパース」は、1961年に誕生すると、たちまち急成長ビジネスとなり、P&G全社でも最大のブランドに成長していきました。P&Gが紙オムツ市場を創出したことで、世の母親は、それ以前とは比較にならないほど便利に紙オムツを交換できるようになったのです。

しかし1990年代後半には、後発のライバル社・キンバークリーク社の「ハギーズ」によって、北米市場のトップの座を奪われてしまいます。

当時のP&Gのパンパース部門では、女性の離職率が全社でも高く、そのため幹部メンバーもほとんどが男性でした。社内政治もあってか、当時の幹部メンバーは、パンパースの強みを「吸収性」であると強調することに腐心し続けてしまい、消費者である母親たちの声に耳を傾けることができず、時間を過ごしていました。

その間にもライバルのキンバークリーク社は、吸収性に加え、デザイン・フィット感などアピールするように商品改良を重ね、その上に低価格帯を実現していきます。

当時のP&Gでは、北米市場での巻き返しを図るべく、ブランド全体で組織を一本化する必要があったこと、しかしながら組織内のタコツボ化と社内政治が蔓延し、苦戦を強いられる様子が描かれています。

 

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このような事例が数多く紹介されています。

この本の良い点は、著者がマーケティング出身である一方で、マーケティングの事例紹介にとどまらず、組織マネジメントや経営戦略を含め、事業戦略について俯瞰的な視点から学ぶことができる点です。

 

ちなみに、P&Gの「パンパース」の事例については、日本人著者である足立光氏(同じくP&G)の『世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則』の本とあわせて読むと、より理解が深まりおすすめです。

逆に、普段はあまり翻訳本を読まない方にも、ジム・ステンゲル氏の著作はおすすめしたいです。日本人著者による著作より、事業戦略の視点を培うことができます。


皮肉なことに、日本市場でも米国市場と同様、P&Gの「パンパース」が後発のライバル企業であるユニチャームにシェアを奪われていく様子が描かれています。

 

余談になりますが、ジム・ステンゲル氏のウェブサイトもデザインがかっこよくて好きです。日本人の場合、独立後にここまで素敵なウェブサイトを作っちゃう実務家は数少ないので、見習いたいところです。

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