たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)/西口 一希

西口 一希著『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)』。

著者の西口さんは、P&G出身、ロート製薬、スマートニュースでご活躍されている有名マーケター。『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』に続き、日本人著者による人気のマーケティング本です。

 

 

西口さんが提唱されているのは「9セグマップ」という分析手法です。これは、「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知・未購買顧客」「未認知顧客」の5つの顧客セグメントについて、更にブランド選好の軸を加えて9セグメントにし、詳細の顧客分析を行うという手法です。

アプローチとしては非常に面白く、一流マーケターの方の発想を学ぶことができます。

一方、実際の実務においては、必ずしも顧客データを9セグメントに綺麗に分類することは難しい場面が多々あるはずです。十分のデータ取得ができないケースや、データ取得ツール設備が不十分なケース、あるいはテレビCMのような効果測定が難しいケースにおいて、どのように仮説を立てて実務を進めていたのか、より詳細の記述があると有難いと感じました。

 

また、西口さんはパレートの法則「20-80の法則」がブランドにおいても適用できるものとし、「売上の80%はロイヤル顧客によってもたらされる」と主張しています。

しかしこれは、『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』で権威あるバイロン・シャープ氏の主張に反する見解です。(バイロン・シャープ氏は、20-80の法則はブランドには当てはまらないと指摘しており、ロイヤル顧客がもたらす売上は全体の60%程度であると指摘しています。)

西口さんが主張する「20-80の法則」については、特に文中で具体例や根拠が述べられていない点が残念です。

 

マーケティングの実務におけるフレームワークや、顧客セグメンテーションの手法に興味のある方にはおすすめの一冊です。

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